エアコンガス漏れ 修理

車検でお預かりしたスズキのアルト【HA25S】です。車検整備とは別でエアコンが効かないということで点検のご依頼をいただきました。昨シーズンの段階で少し効きが悪くなっていたようで、今シーズンはまったく効かなくなったということです。

まずは温度を最強冷、風量最大にセットして点検を行います。

吹き出し口から出る風は体感でもただの送風で、まったく冷えておりません。

エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチが入っていないためエアコンは作動していない状態になっていました。

マニホールドゲージにてガスの圧力を測定します。測定の結果、ガス圧が非常に低い状態だということがわかりました。すなわちエアコンガスの量が少なくなっています。エアコンのガス圧が低すぎるためマグネットクラッチが入らないのは間違いないのですが、不調の原因がそれだけなのかを正確に調べる必要があります。

こちらのお車は290g~350gの間がエアコンガスの規定量になります。規定量入っている状態でエアコンが正常に動き、冷え具合も問題ないかを調べていきます。

エアコンガスが現在どれくらいの量が入っているのかを調べる方法は一つだけです。エアコンガスを回収し、回収した量を見るという方法だけです。マニホールドゲージのガス圧を見ながらエアコンガスチャージを行う方もいますが、ガス圧はエアコン関連部品の状態や外気温によっても変化しますので専用の機械を使用して、ガス回収、規定量の充填を行います。

回収できたエアコンガスは55gだけでした。ほぼほぼ空に近い状態です。回収後に真空引きを行い、しばらく放置してリークテストを行います。リークテストを行いましたが、極端な漏れはなさそうでした。昨シーズンから効きが悪くなってきていたというお話でしたので徐々にエアコンガスが微量ずつ抜けていっているようです。

エアコンガスも微量ずつではありますが自然に抜けていってしまうため、それが年月を重ねてエアコンが効かなくなるほどまで減ってしまったのか、それとも配管のつなぎ目などから明らかに早いスピードで減っていってしまっているのかを判断する必要があります。微量な漏れは見つけるのが難しいため蛍光剤入りのエアコンオイルを注入させていただきました。これを入れておくことで次同じようにエアコンの効きが悪くなった場合、ガスと一緒に蛍光剤が漏れてくるため、ガス漏れ箇所の特定がしやすくなります。

エアコンガスが規定量入ったら、エアコンのコンプレッサーも正常に動き始めましたのでやはりガス量が少ないことが主な原因だったようです。

エアコンが作動すればこのようにしっかりと冷えるようになりました。そのことからエアコンサイクルには特に問題はなく、エアコンのガスの減りげ原因だと断定できました。これで修理完了といきたいところですが、自然に減っていったものなのか、明らかな漏れなのかを判断するには少し期間をおいてテストする必要がありますので、一旦この状態でお返しさせていただきました。自然に減っていくものならば数年は問題なく、数か月程度でまたエアコンが効かなくなるということでしたら明らかなガス漏れと言えるので、まだ修理完了とは言えませんがエアコンは冷えるようになったためこのような状態で一旦は修理完了とさせていただきました。